Aru Quality Pro 代表 木野村 朱美
はじめまして、木野村 朱美(きのむらあけみ)です。身体と心の不調を改善し、人が本来もつ能力を最大限に発揮しながら、自然体で生きるお手伝いをしています。
「身体と心の不調を改善」というと、どのようなイメージをもちますか?
マッサージやヨガ、カウンセリングやヒーリングを想像される方が多いかも知れませんが、わたしが専門としているのは「アレクサンダー・テクニーク」(以下、アレクサンダー)です。
アレクサンダーとは、無意識に起こる身体の緊張をとって、本来もっている能力を最大限に引き出す技術。日本ではまだ馴染みがありませんが、130年の歴史があり、世界的に見ると、著名な俳優、スポーツ選手、ダンサーなどが取り入れています。
たとえば「原因はわからないけど身体の疲れがとれない」「練習ではうまくいくのに本番では力がでない」「人前に出ると緊張してうまく話せない」、こんな経験はありませんか?緊張下に無意識に起こる身体のクセをとることであらゆる課題を解決するのが、アレクサンダーです。過去には、医師から手術しか治療法がないと言われた膝の痛みが、アレクサンダーによって取れただけでなく、ダンスのステップを踏めるようにまでになった方もいます。
これはほんの一例で、わたしは21年間、京都・大阪を拠点に、のべ1万人以上の身体に触れてきました。2018年には『イラストでわかる疲れないカラダの使い方図鑑』を出版。2020年1月に翻訳版が台湾で出版され、中国版・ベトナム版の出版準備も進んでいます。
2018年には『イラストでわかる疲れないカラダの使い方図鑑』を出版。今年1月に翻訳版が台湾で出版され、中国版・ベトナム版の出版準備も進んでいます。
出版をきっかけに、全国で「読書体験会」を約30回開催。関西圏を中心にイベント登壇のオファーもいただき、あわせて500名を超える全国のみなさまにお会いすることもできました。
アレクサンダーのレッスンの他にも、2020年8月にスタートしたこれまでにない新しいオンラインコミュニティ(ほっこりサロン)の主宰もしています。アレクサンダーだけでなく、アーユル・ヴェーダ、オーラソーマ、瞑想、気学、茶道などの体験やミニレクチャーをとおして、ちょっとだけ生きやすく、ちょっぴり豊かな毎日を目指す新しいコミュニティです。全国各地からオンライン上にメンバーが集まり、「ほっ」とひと息ついて、ゆるっと気軽に楽しくつながれる居場所になっています。
「アレクサンダー講師なのに、アーユル・ヴェーダ?瞑想?茶道?」「一体、何屋さん?」と思われるかもしれませんが、ずっと身体と心に関する「ほんとうのこと」を追い求めてきました。学んだ知識や技術、経験は、どれも素晴らしいもので、勝手に混ぜたりせずに、きちんと守られ伝えられるべきものだと思います。しかし今、学んだ知識と技術、全てを駆使して、お伝えすることを始めました。
わたしの初めての職は中学校の美術教員でした。ただ、お恥ずかしい話、決して美術教育に熱い思いを持って教育の世界に踏み込んだわけではありません。大学卒業後はアルバイトをしながら立体物の制作活動でもやろうかな~なんてのんきに考えていた卒業直前の3月に、たまたま教職に空きが出たと声がかかって教員生活が始まりました。
ひょんなことから、「先生」になったわけですが、先生といっても、ごく普通の22歳、新卒社会人です。そんな自分が、「先生」と呼ばれること、そして、自分を含めた大人のひと言が子どもたちに大きな影響を与える場面を目の当たりにし、子どもの教育より、大人への教育、なによりまずは自分への教育が必要ではと、悶々と考える日々を送っていました。
そして、ある日突然、頭から足先まで湿疹が。それも左半身だけ。かゆくて眠れない日々が2週間続き、病院に行っても原因不明と言われてしまいました。それがきっかけで退職を決意。方法はわからないけれど、「とにかくまずは自分が変わりたい」、そんな思いで大学に戻ることを決めました。
大学に戻って間もなく、教授の研究室の本棚一面に並ぶ、見たこともない書物の数々にわたしは釘付けになりました。
そこではじめて、セラピーやボディワークと呼ばれるものが世界にはたくさんあること、身体や心は思うほど健全な状態ではないこと、整えるための様々なアプローチがあることを知りました。その中のひとつが、まさにアレクサンダー・テクニーク。今思い返しても不思議ですが、その本を読んだ瞬間に「コレの教師になる」と心が言っているのを感じ、来日された先生方のレッスンに、熱心に通うようになりました。
半年ほど経った頃のこと。あるグループレッスンに参加しました。それは、先生が参加者ひとりひとりのお悩みごとに応えるスタイルで、参加者の、フォルム、雰囲気、所作、表情、声までもが次々と変容する瞬間に立ち会いました。
ひとりの青年が、「こんなことでもいいだろうか・・・」といった様子で、自信なさげに言いました。「メガネのかけ外しのレッスンをしたいんです。というのも僕、長年メガネかけているんですが、未だにかける時、外す時、そそくさとしてしまって…人前でするときは居場所が無い感じで・・・」と。
そんな彼に、先生は「ちょっと触れるよ」と身体の2、3ヶ所に軽く触れ、「立って歩いてきてごらん」と言いました。
彼が立ち上がり、一歩、また一歩と、参加者の前を歩き始めたその瞬間、わたしはボロボロと大泣きをしてしまっていました。ほんの少し前まで、自信がなさそうしていた彼が、まるで本当の王様のように見えました。満ち足りていて、ゆったりと、堂々と、軽やかで、美しく――その姿に衝撃を受けました。
そして、ボロボロ泣きながら「人にこんな可能性があるなら、これの教師になる」と決意。これがわたしのアレクサンダーの教師としての原点です。
4年間の訓練を受け、1999年にようやく資格を取得しましたが、日本で最初にアレクサンダー教師になったのが自分たちですから、当然、誰も「アレクサンダー・テクニーク」を知りません。それゆえ、仕事にしていくのは簡単なことではありませんでした。さらに、地下鉄サリン事件の影響が色濃く残る時代背景もあり、創始者のアレクサンダー氏の体験を引用するだけで「宗教」と言われ、クセを修正するための違う考え方を提案すると「マインドコントロール」と言われてしまう時代でした。きちんと「技術」としてアレクサンダーを伝えるために、「何のために」「何をしているか」「身体に何が起こっているか」を体系立てて説明することを心がけましたが、口下手なので、大変苦労もしました。
それなら、より身近でとっつきやすく、必要とされている技術を使って敷居をさげようと考え、カラーセラピーの一種であるオーラソーマや、マッサージを含む身体の学問のひとつのアーユル・ヴェーダ、ほかにもさまざまなきっかけで、茶道、弓道、仏教、気学、食事、瞑想などを学びました。多趣味と言われもしますが、これらにはすべて「動きと意識の修養」という共通点があります。
たとえば、茶道や弓道の型は身体の自然な構造を無理なくそのまま使うための訓練のひとつ。所作ひとつひとつが身体構造の理にかない、手つきひとつにも禅に由来する深い思想があります。それは「動く禅」と評されるアレクサンダーと共通しているのです。わたしは、東洋版と西洋版の禅の行を知らず知らずに選んでいたのでした。これらを学ぶことで、自分を取りし、毎日が豊かに感じられるようになり、とても生きやすくなったと実感しています。
こうして、できることはひとつひとつと増えていきましたが、アレクサンダーへの “ なんだかよく分からない とっつきにくいもの ” というイメージは拭いきれず、1万人にレッスンをしてもなお、その葛藤を感じ続けています。ただ、わたし自身がこの技術に可能性を見たからこそ、そして、伝えられる教師が少数だからこそ、本当に必要としてくださるひとりひとりに届くようにと、ただただアレクサンダー教師を21年間続けてきました。
そんな中迎えた、2020年。新型コロナウイルスの感染拡大により、前例のない変化がはじまりました。そして、生徒さんから届いた、SOSのメッセージ。未だかつてだれも体験したことのないような変化への焦りや不安から、心身の不調を感じる方が予想を超えて増えていました。わたし自身も、21年間の経験の中で初めて、対面レッスンが停止する状況になりました。
届いたSOSの内容の重さに突き動かされるように、踏み切って開催したオンラインレッスン。ありがたいことに、個人レッスン・グループレッスンともに大盛況。オンラインでどこまでのことができるだろう、なんてわたしの不安もよそに、みなさん一様にすっきりとしたお顔でレッスンを終えられていったんです。わたしは生徒さんのからだには指1本すら触れていないのに。
このとき、長年抱えていたモヤモヤがパッと晴れ、今わたしがすべきことがクリアになったような気がしました。
これまで21年間に渡り、アレクサンダーを使って、1万人を超える人たちの身体と心に向き合ってきました。いろんな知識や技術を学び、身につけたからこそ、それらを数段底上げする力が、アレクサンダーにはあることを確信したからです。
だからこそ、アレクサンダーのすごさをたくさんの人に知って欲しくて、とにかくアレクサンダーを使い、アレクサンダーを伝えることに専念をしてきました。
ですが、心のどこかで、「このつらさを少しでも楽にして欲しい」と駆け込んできてくれる方に対して、アレクサンダーにこだわることはわたしのエゴではないかという葛藤もあったんです。みなさんの立場で考えてみれば、手に入れたいのは心身のお悩みが解決することであり、その方法がアレクサンダーなのかかどうかなんて関係がないことですから。
そんな中、21年間ではじめて、生徒さんの身体に指1本も触れられない事態になり、これまでのこだわりが通用しなくなりました。いてもたってもいられずに開催したオンラインレッスンやライブ配信。アレクサンダーへのこだわりを置いて、わたしが持っているあらゆる知識や、人生経験をお伝えするだけで、ちょっぴり生きやすく変化する生徒さんの様子を目の当たりにしました。
そのときにようやく吹っ切ることができたんです。「もしかしたらアレクサンダーのかたちにこだわって伝える必要もないのかも。体裁も形も・・・もういいか!」と。
わたしの仕事は、「アレクサンダーすごいでしょ?」と自慢することでも、技術の高さをアピールすることでもなく、目の前の人の身体と心のお悩みをほんの少しでも改善することです。そのために、わたしの人生経験や、これまで学んできた、オーラソーマ、アーユル・ヴェーダ、茶道、弓道、仏教、気学、食事、瞑想などが役立つことを体験しました。
例えるなら、「シェフの気まぐれサラダ」。シェフが、その日にもっともおいしい旬の食材を使ったサラダをお客さんに出すように、わたしも目の前のその人が生きやすくなるために、今まさに必要なものを組み合わせてお伝えすることができます。むしろ、それこそが失敗をしながらどろんこになって歩いてきた今こそできることだと感じました。
これまで、ひとつのことを突き詰めて、自分の専門の希少性や技術が高くあることにプライドを持ってきました。21年間の努力は、無駄ではありませんでしたが、目の前のたったひとりのつらさをやわらげるという原点に戻ったとき、ときにそのこだわりが邪魔をしているように思いました。
いまわたしの挑戦は、そんなこだわりを取っ払って、わたしの中のあらゆる素材を、目の前のおひとりおひとりにとってもっとも役立つように、そして、受け取りやすいようにお伝えすること。そして、心も身体も慌ただしい今だからこそ、どこか「ほっ」とひと息ついて、ゆるっと気軽に楽しくつながれる居場所になることです。
これからは、人生を通して重ねてきた数々の経験や学んできたことを、お役に立てる形にしてたくさんの人々に伝えたいです。
1993年 | 子供たちに美術を教えるなか、「脱・条件付け」の必要性を感じ様々なセラピーやトレーニングを受ける。瞑想に出合う。 アレクサンダー・テクニークに出合い、人の潜在的可能性とその美しさに感銘を受け、アレクサンダー教師になる事を決意 |
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1995年 | 日本初アレクサンダー教師養成学校KAPPA2期生としてトレーニング開始 |
1999年 | 4年に亘るトレーニング修了。アレクサンダー教師として活動を開始、美術、茶道、太極拳、弓道、その他のワークから得た理解を取り入れながら個人レッスン、グループレッスンを展開。 |
2001年 |
大手企業の研修講師も経験。それらを通して人の持つ本来の美しさを探求している。 茶道も教え始める アレクサンダー・テクニーク イタリア研修参加 |
2003年 |
ビージャ式アーユルヴェーダ・アビヤンガ・スクール1期卒業 オーラソーマ(武藤悦子先生より) レベル1修了 |
2004年 | オーラソーマ(武藤悦子先生より) レベル2修了 |
2006年 |
アレクサンダー・テクニーク スイス研修参加 オーラソーマ(武藤悦子先生より) レベル3修了 |
2008年 | アレクサンダー・テクニークの世界会議(スイスのルガーノで開催)に参加 |
2010年 | アレクサンダー・テクニークから解剖学の部分を抽出したコースを開設 |
2011年 | アレクサンダー・テクニーク教師養成コースを開設。毎年海外の超一流教師をお招きする |
2013年 | Aru Quality Pro を株式会社にする |
2014年 | 各国のクラシック音楽トップジュニア300名が集まるメドウマウント音楽院(米)夏季合宿に、身体の使い方の指導サポートとして参加 |
2015年 | ATI 認定を得るための審査を行う教師として認可をうける(世界33名の内の一人) |
2018年 | 『イラストでわかる疲れないカラダの使い方図鑑』池田書店 発刊。以後7刷32,000部となる |
2019年 | 身体認識感覚ラボ 設立。「身体認識感覚理論」コース設立、有資格者育成 |
Aru とは、「在」であり、「あるがまま」。
“人が本来持つ、美しさと可能性を大切にしたい、そのためのプロでありたい。”
そんな溢れる思いを、託しました。 天職と思う仕事に就きながら、作業で身体を壊し去っていく人。
―― それは、「仕方ないこと」ではないのです。
年だから、体質だから、遺伝だから、癖だから、皆がそうだから。
―― それは、「仕方ないこと」ではないのです。
それらの多くに、未開の可能性が眠っていることを、私たちは知っています。
こんな方法があることを、まだ知らない多くの人に伝え、 そのための構想を、実現していくためのプロジェクトです。
京都教室
AQP京都教室
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・JR奈良線に乗換→(一駅乗車)→「東福寺」駅、同駅 京阪電車に乗換→(出町柳行き二駅乗車)→「清水五条」駅下車→(★)
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